タネ開かし

実は若かりし頃、急性水泳肩とでも言うべき症状に陥ったことがある。泳いだあと、だんだん肩が痛くなってきて、夜には痛くてどうにもならない、という状態。右手で左手を押さえつけ、左肩を固定。ピクリとでも動かせば痛かった。痛さのあまり一晩寝られなかった。
翌朝、病院が開くのを待って、先生に診てもらったところ、何かごにょごにょ説明を受けた後、肩に注射。そしてその先生は「ほら治った!」と言って、私が右手で押さえつけていた左手を投げ上げるように動かした。本当に少しも痛くなくなっていた。すげぇ、本当に治ったと思った。
この話を現在のリハビリのトレーナーの人にしたところ、大笑い。その先生もものすごいことしますね、と言われた。そんなに簡単に肩が治るはずはないので、恐らくその注射には、麻酔と抗炎症剤が入っていたのだろうとのことだった。つまり、麻酔でその場の痛みを抑え、麻酔が切れた頃には抗炎症剤が効いてきて、患部の腫れが治まり、治っているという寸法だったのだろう、とのこと。なるほど、これがあの時のタネだったのか。確かに説得力抜群。あの時、あの先生は神かと思ったのだが、タネを知ってしまうと何かだまされた気分。