Would you mind my opening the window?

英語のYES-NOシステムが、日本語と違うこと自体は、中学校でも教わるので誰でも知っている。日本人にとって問題なのは否定形の疑問文であることも、多少なりとも英語で会話したことがあれば、すぐにハマるので知っているであろう。頭で分かっていてもとっさに出てこない。しかし、問題はそれだけではない。タイトルの英語は自然な日本語に訳せば「窓を開けてもよいですか?」という感じの意味である。しかし、これにYESと答えると「窓を開けではダメ。」という意味になる。この英語は、非常に丁寧な敬語的表現で、実に巧妙に出来ている。直訳は「あなたは私が窓を開けることをイヤだと思いますか?」と聞いているのだ。従って、YESと答えるとイヤだになってしまう。
同様の例として、空港の待合室などでカバンの置いてある席を指さして"Is this seat occupied?"と聞かれた場合にも、YESと答えると(多分)ハマる。この英語の直訳は「この席は誰かに占有されていますか?」という意味なので、YESだと(占有されているので)聞いてきた人が座ってはいけません、という意味になる。これらは否定形の疑問文ではないにも関わらず、YESと答えると日本人的に恐らくハマる例である。どちらの場合も"Of course, not."と答えるのが正解。
このような例も合わせて考えると、「否定形の疑問文のYES-NOシステムは、日本語と英語とでは逆になる。」というような単純な図式はだけでは話は済まないように思える。恐らく、日本語のYES(つまり、はい)は、聞いてきた人の期待している側に常に倒れるというと正しいように思える。これに対し英語のYESは、質問の肯定文側に常に倒れる、と理解している。
ところで、最近フィリピンの人たちとよく会話をするのだが、否定形に答える場合のYES-NOシステムが、私の想定しているものと違うようだ。つまり否定形の疑問にYESと答えているが、それは文脈的に明らかにNOを意味していることがある。例えば"You don't have XXXX?"(XXXX持ってないよね?)の答えがYESで、かつそれは「ない」を意味している。この点について、1人のフィリピン人に聞いてみたのだが、彼らのYES-NOシステムは人による(つまり多分文脈により変わる)とのことだった。これはフィリピン人の英語特有のものなのか、US英語でも通用するものなのか私は知らない。でも通用する気がする。(なお私はUK英語をそもそも知らない。)